「利下げは株高」正しいか 過去2回は結局大幅安

「利下げは株高」正しいか 過去2回は結局大幅安

日経電子版 6/12 5:30

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45954610R10C19A6000000/

米連邦準備理事会(FRB)が7月末にも利下げに踏み切るとの観測から、日米の株式相場が連日高くなっている。トランプ米政権が仕掛ける米中貿易戦争の悪影響をはね返せるのではないかとの期待があるためだ。しかし、2001年と07年に始まった利下げ局面では、ダウ工業株30種平均は最初は好感して上げたものの、結局、大きく下落した。今回も米国の景気後退が避けられなければ、株式相場は高値維持が難しくなる恐れがある。

 

米国の政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は1998年11月17日に4.75%まで低下していたが、99年6月30日に5.00%への引き上げに転じ、00年5月16日の6.50%まで6回にわたって引き上げられた。その後、IT(情報技術)バブルの崩壊を受け、01年1月3日に6.00%に利下げされ、03年6月25日に1.00%にするまで13回引き下げられた。

 

ダウ平均は00年1月14日に1万1722ドルの高値を付けた後、上値が重くなり、利下げに転じる前日の01年1月2日には1万0646ドルまで下げていた。1月3日には利下げを好感して299ドル高となり、その後も1万1000ドル台を回復する局面もあったが、結局、00年の高値に届かないまま、02年10月9日に7286ドルまで下落した。底入れ時のFF金利は1.75%。つまり、利下げの最終局面が近づくまで株価は上向かなかった。

 

07~09年にも似たことが繰り返された。06年6月29日に5.25%まで上昇していたFF金利の誘導目標は、低所得者向け住宅ローン問題の拡大を受け、07年9月18日に4.75%に引き下げられた。これを皮切りに、08年12月16日に0~0.25%にするまで都合10回引き下げられた。ダウ平均は最初の利下げを好感し、07年10月9日に1万4164ドルの高値を付けたが、その後は08年9月のリーマン・ショックを経て、09年3月9日に6547ドルまで下落した。

 

今回もパウエルFRB議長が4日の講演で「景気拡大維持のために適切に行動する」と発言したのを受け、早ければ7月30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決めるとの観測が高まっている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「フェドウオッチ」によると、7月のFOMCまでに利下げされる確率は79%に達する。金融緩和への期待から、ダウ平均は4~10日の5営業日で1243ドル(5.0%)も上昇した。

 

しかし、年末までに3~4回の利下げがあっても、米国の景気後退が回避できるとは限らない。景気後退の予兆とされる3カ月物国債と10年物国債との長短金利の逆転は、6月10日まで12営業日連続で起きた。ニューヨーク連邦準備銀行が試算する「1年後の景気後退確率」は5月に29.6%とリーマン・ショック時以来の高さだ。米国の1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比の年率換算で3.1%増だったが、アトランタ連銀は4~6月期には1.4%に低下すると推計している。

 

産業界や議会の強い反対もあり、トランプ米大統領は第2の貿易相手国であるメキシコからの全輸入品に5%の追加関税を課す計画を見送った。しかし、中国からの2000億ドル(約22兆円)分の輸入品に対する追加関税を5月10日から25%に引き上げた影響はこれから出てくる。7日発表された5月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比7万5000人増と市場予想を大幅に下回った。「米国の景気指標はさらに悪化する」。こう予想する米国ウオッチャーも多い。

 

米利下げ時の東京株式相場を振り返れば、日経平均株価は00年4月12日に付けた高値2万0833円から、03年4月28日の7607円まで63.5%下落した。ITバブルの崩壊や金融システム不安が重なったためだ。リーマン・ショック前後も07年7月9日の1万8261円から09年3月10日の7054円まで61.4%下落した。ダウ平均の当時の下落率は37.8%と53.8%だった。世界の景気敏感株と呼ばれる日本株のほうが、厳しい試練に直面した。

 

6月8~9日に福岡市で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では世界経済の下振れ懸念に対し「さらなる行動をとる用意がある」ことを確認した。欧州中央銀行(ECB)は6日にリトアニアの首都ビリニュスで開いた理事会で、少なくとも20年前半までは政策金利を現状の水準に据え置くと決めた。しかし、景気失速の主因である貿易戦争の終結に向けて世界が動いているわけではない。

 

 

6月28~29日のG20大阪サミットに合わせて開く米中首脳会談で、トランプ米大統領が華為技術(ファーウェイ)の息の根を止めるような制裁措置の緩和を打ち出すかどうかもわからない。主要メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)は4日、19年の半導体の市場規模が前年比12.1%減の4120億ドル(約44兆円)に縮小するとの予測を発表した。半年前には2.6%増とみていた。20年も5.4%増と小幅な回復にとどまるという。

足元の株式相場は米中首脳会談で何らかの合意が成立するとの期待にも支えられている。景気失速を回避するためには、米中がどこかで折り合うことが不可欠だ。ただ、日経平均が75日移動平均線(2万1455円)まで戻れなければ、「次の下落は大きなものになるかもしれない」(楽天証券の土信田雅之シニアマーケットアナリスト)との見方もある。連日の薄商いは投資家の不安の大きさを示している。

 

 

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