「伊藤忠、今や内需株 株価一人勝ちのわけ」

「伊藤忠、今や内需株 株価一人勝ちのわけ」

[10/17 日経記事より]

https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=4&n_cid=DSMMAA13&ng=DGXMZO50922440R11C19A0000000&scode=8001&ba=1

 

米中貿易摩擦などで商社株が伸び悩むなか、伊藤忠商事の株価が堅調だ。年初からの騰落率は22%高と、三井物産(6%高)や三菱商事(11%安)を上回る。9月24日には上場来高値を付けた。投資家が注目するのは、業績の安定性だ。伊藤忠は他の商社と同じ土俵で比べにくくなっている。

 

「伊藤忠は手掛ける事業が違う。他の商社とひとくくりにする投資戦略は通用しない」。ある国内ファンドマネージャーはこう話し、今春から三菱商事株の持ち高を減らして伊藤忠株に乗り換えた。

今年に入り、伊藤忠株は他の商社株と連動しにくくなっている。大手5社の株価の相関関係を調べてみる。相関係数を1~マイナス1として、5社の株価が互いにどの程度連動しているかを算出した。係数が1に近づくほど値動きが似ており、マイナス1に近づくほど値動きが異なることを示す。これをグラフで色を使って表現した。最も濃い色を相関係数1とし、最も薄い色をマイナス1とする。色が濃いほど相関性が高く、薄いほど相関性が低いことが分かる。縦軸の会社と横軸の会社の交わる部分がそれぞれの相関性を示す。

 

2014~18年はどの商社も相関係数が0.8付近となり、株価の連動性が高かった。グラフを見れば、全体的に青色が濃い。それが19年になると、伊藤忠の相関係数が0.4~0.5台と他の商社より低くなり、独自の値動きを強めている。例えば、伊藤忠と三菱商事の交わる部分は14~18年に青色が濃かったが、19年は色がほとんどなくなっている。米中摩擦などで世界経済の先行きが不透明となったタイミングに重なる。

伊藤忠株が連動性を高めたのは、味の素や日清製粉グループ本社といったディフェンシブ銘柄。一方、三井物産は豪英資源大手BHPビリトンと、三菱商事は米投資ファンドのカーライル・グループと連動しやすくなっている。伊藤忠は商社株の代名詞だった「資源関連株」「海外関連株」から脱却しつつある。

伊藤忠が投資家から評価されているのは、業績の安定性だ。利益の8割を食料品や消費関連など非資源事業で稼ぎ、市況に左右されにくい。三菱商事や三井物産が資源価格の下落で減損リスクが懸念されているのとは対照的だ。19年4~9月期の業績は、伊藤忠と他の商社とで明暗が分かれる可能性がある。

 

業績はどのくらい安定しているのか。各社が期初に公表した純利益予想と実績の乖離(かいり)を比べてみよう。過去9年間の乖離幅の平均は、伊藤忠が250億円。三菱商事の1220億円や、三井物産の850億円よりも乖離が小さい。伊藤忠は業績のブレが小さく、投資家の買い安心感につながっている。

伊藤忠は収益構造も分散が効いている。19年3月期の決算資料で公表された出資先企業の取り込み利益を見ると、伊藤忠は取り込み利益が1社当たり50億円未満の企業による利益貢献が全体の3割を占める。三菱商事の1割より多い。伊藤忠は特定の出資先に利益を依存せず、小規模な子会社や持ち分法適用会社の利益を細かく積み上げている。

課題はキャッシュの創出力だ。伊藤忠はこの5年間で純利益を2倍に引き上げたものの、営業キャッシュフロー(現金収支、直近3年平均)の伸びが43%にとどまる。一方、三菱商事は利益が63%増えたのに対し、営業キャッシュフローは43%伸びている。伊藤忠は期間利益がキャッシュにつながりにくい構造だ。

 

要因は「出資先企業から得る配当収入を十分に引き上げられていない」(アナリスト)ためだ。例えば、10%出資する中国中信集団(CITIC)の18年12月期の純利益は約7000億円で、伊藤忠の持ち分法投資利益は約700億円に上った。ただ、CITICの配当性向は2割程度のため、伊藤忠が受け取る配当収入は170億円程度にとどまったもようだ。

伊藤忠もキャッシュフローの引き上げに取り組んでいる。

8月、持ち分法適用会社のプリマハムへの出資比率を4割超に引き上げた。足元でもプリマ株を買い進めており、今後子会社化する可能性が高い。実現すれば取り込める営業キャッシュフローは18年3月期ベースで約240億円となり、現状の配当収入に頼る10億円程度から大幅に増える。

伊藤忠はプリマが経営難に苦しむ2003年に持ち分法適用会社とした。歴代社長を派遣。グループがカナダで運営する養豚農場で飼料にハーブなどを使って日本の消費者好みの豚肉を生産し、プリマに供給した。「製造からマーケティングまでグループの強みを生かした」(伊藤忠の鯛健一・生鮮食品部門長)

プリマの19年3月期の純利益は82億円と、高収益企業に生まれ変わった。直近ではプリマのソーセージ「香薫」のシェアが三菱商事傘下の伊藤ハム米久の「アルトバイエルン」を抜き、首位の日本ハム「シャウエッセン」に続く国内2位に躍り出た。

持ち分法適用会社を子会社化すれば、出資先からキャッシュを吸い上げやすくなる。すでに17年にヤナセ、18年にユニー・ファミリーマートホールディングス(現ファミリーマート)を子会社化している。こういった事例を積み上げられるかが、株価の上値を追うカギを握る。

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