戻り相場そろそろ限界 国内景気の減速強まる

戻り相場そろそろ限界 国内景気の減速強まる

編集委員 前田昌孝 2019/3/6 5:30

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42061990V00C19A3000000/

国内の景気指標が1月から2月にかけて急速に悪化している。1月の百貨店の免税売上高が前年同月を下回ったのに続き、内閣府が1日に発表した2月の消費動向調査では消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)が2016年11月以来の低水準を付けた。2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)も景気判断の節目となる50を下回った。日経平均株価は18年10~12月の下げ幅の半値戻しを達成したが、今後は景気の失速が株価の重荷になりそうだ。
日本の国内総生産(GDP)は自然災害が多かった18年7~9月期に前期比年率2.6%減(実質の季節調整値)を記録した後、10~12月期に年率1.4%増と持ち直した。政府は「景気は緩やかに回復」(菅義偉官房長官)と説明している。ただ、「19年1~3月期には再びマイナス成長に陥る」との声もある。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「もし7~9月期が自然災害で落ち込んでいなければ、日本の景気は10~12月期から下降局面に入っていたに違いない」と話していた。

現に最近発表されたいくつかの景気指標は、日本経済の現状が楽観できる状況ではないことを示している。例えば、日本百貨店協会が2月21日に発表した1月の外国人観光客の売上高・来店動向によると、集計対象の93店舗の免税売上高は前年同月比7.7%減の262億7000万円になった。26カ月ぶりの前年割れだ。中国で輸入品のインターネット通販を規制する「中国電子商取引法」が1月に施行され、転売業者の仕入れが減少したという特殊要因はあるが、中国の景気低迷もあり、今後もインバウンド需要が伸び悩む可能性がある。

製造業関連の指標では経済産業省が2月28日に発表した1月の鉱工業生産指数(15年=100、季節調整済み、速報値)も前月比3.7%の低下と市場予想を大幅に下回った。輸出減が生産減に結びついた。日本経済新聞社が3月1日に発表した2月の日本の製造業PMIも48.9と、1月の50.3から1.4ポイント低下した。50を下回ったのは16年8月以来、30カ月ぶり。生産高と新規受注が大幅に減少したという。ハードデータとソフトデータの両方が業況の急速な悪化を示した。

なおハードデータとは生産数量や売上高など実際の経済活動の結果を集計した指標で、ソフトデータとは景況感アンケートなどを集計した指標を指している。ソフトデータの方が早く集計できるため、ソフトデータは先行指標、ハードデータは遅行指標と受け止められている。

2月の消費者態度指数も前月比0.4%低下の41.5と5カ月連続で低下した。内閣府は食品などの相次ぐ値上げや電気・ガス料金の高止まりのほか、中国景気の減速などが消費者心理の重荷になったとみている。基調判断をこれまでの「弱い動きがみられる」から「弱まっている」に下方修正した。消費税率の引き上げを10月に控え、個人消費は耐久消費財を中心に一時的に盛り上がる可能性もあるが、その反動も大きそうだ。

5日の東京株式相場は前日の米ダウ工業株30種平均が200ドル余り下落したのを受け、反落した。それでも日経平均株価は18年10~12月の下げ幅に対する半値戻しの水準(2万1713円)を何とか維持した。「半値戻しは全値戻し」という相場格言もあり、戻り相場の継続を見込む投資家が積極的に押し目買いを入れたもようだ。ただ、この格言には「半値まで戻したら深追いせずに売却すべきだ」という意味もある。「持ち株の過半を売った」とある個人投資家は話していた。

強弱感の対立を乗り越えて日経平均が上昇するとすれば、すでに18年10~12月の下げ幅の85.4%を戻した米ダウ工業株30種平均が一段と上昇し、出遅れ感がある日本株に外国人買いが入ることが考えられる。5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で李克強(リー・クォーチャン)首相が減税や産業振興、インフラ投資などの景気対策を打ち出し、上海総合指数が9カ月ぶり高値まで上昇したことも、買い安心感を呼ぶだろう。

しかし、米国株の上昇余地は乏しいかもしれない。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが2月23日に発表した18年の決算によると、投資の待機資金である現金・現金同等物は18年末に1118億ドル(約12兆3000億円)と、17年末の1159億ドルに続いて高水準を保った。米国市場にはバフェット氏が長期投資の対象にしたいと思うような割安な銘柄が少なくなっていることの表れだ。

もしダウ平均が今後、18年10月3日に付けた最高値2万6828ドルを更新せずに下げてしまえば、09年から始まった長期上昇相場が終わったことを示す「三尊天井」が完成する可能性が出てくる。これまで米企業は法人減税と海外留保利益の国内還流をテコに巨額の自社株買いを実施し、株価を押し上げてきたが、その錬金術も限界が近づいているのではないだろうか

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