株2万3000円射程入り 「今期も増益」買い誘うか

東京株式市場では日経平均株価が2月2日以来の2万3000円台回復を射程に収めている。15日は47円安と4日ぶりに反落したが、上場企業の決算発表では米国の法人減税の影響を除くと、今期も増益になるもようで、好業績株には買いが入る。米中の貿易摩擦もここにきて緩和の方向に動き、市場参加者に一定の安心感を与えている。相場格言では5月は株式を手放す好機と言われるが、今年は当てはまらないのかもしれない。

 トランプ米大統領が13日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)について「ビジネスに速やかに戻れるよう中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とともに取り組んでいる」とツイッターに投稿。これをきっかけに市場では米中の通商摩擦が和らぐとの期待が高まった。ダウ工業株30種平均は14日まで8日続伸し、3月16日以来およそ2カ月ぶりの高値を付けた。15日の東京市場でも自社株買いを発表した三井住友フィナンシャルグループや、黒字決算を発表した東芝が買われた。

米株式相場の上昇をけん引しているのは大型ハイテク株だ。NYSE・FANGプラス指数の計算対象10銘柄のうち、米国の8社の1~3月期の業績を振り返ると、7億900万ドルの最終赤字になったテスラを除く7社が大幅な増益を確保した。エヌビディア(2~4月期)が前年同期比2.45倍の12億4400万ドル、アマゾン・ドット・コムが2.25倍の16億2900万ドル、アルファベットが73%増の94億100万ドル、フェイスブックが63%増の49億8800万ドル、ネットフリックスが63%増の2億9000万ドルという具合だ。

 NYSE・FANGプラス指数は3月12日に2770.53の最高値を付けた後、4月2日には2360.43まで調整していたが、5月10日には2748.31と再び最高値に近づいた。14日も2740.14の高さにある。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も14日は反発し、7411.320と3月16日以来およそ2カ月ぶりの高値を付けた。3月12日に付けた最高値7588.325まであと177ポイントに迫った。

 日本にはアップルやアマゾンといったハイテク株の核になるような大型銘柄はないが、村田製作所、TDK、アルプス電気、信越化学工業、東京エレクトロン、ファナック、安川電機などスマートフォン(スマホ)や半導体に関連する銘柄は折に触れて物色されている。世界半導体市場統計(WSTS)によると、世界の半導体市場は2018年も9.5%拡大し、過去最高になる見通しだ。ハイテク企業の多くは今期も増収増益を見込んでいる。

 

日経平均は2万2956円まで上昇すると、1月23日の高値2万4124円から3月23日の安値2万0617円までの下げ幅の3分の2戻しを達成する。日経平均ベースの予想1株当たり利益は、自動車メーカーなどが米国の法人税率引き下げの影響で前期に大幅増益になった反動が出るため、15日現在で1660円に低下した。それでも予想PER(株価収益率)は13倍台だ。1月23日高値を取り戻したところでPERは14倍台半ばにとどまる。割安感からの買い場が続くといえるだろう。

 

ただ、日経平均が高値に向かうためには、いくつかのハードルがある。第1に米国の長期金利の大幅上昇を回避する必要がある。米10年物国債利回りは14日に再び3%まで上げた。金融政策の影響を受けやすい米2年物国債利回りが2.55%と08年8月11日以来9年9カ月ぶりの高さまで上昇し、玉突きで押し上げられた。日米金利差の拡大は円安要因だが、米長期金利が3%を超えて上昇すると、一部の新興国からの資金流出を招き、新興国景気が悪化する可能性がある。新興国の株式や債券が売られ、世界の投資家がリスク回避に傾くだろう。

 第2に米国の保護主義が行き過ぎないことが重要だ。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の経済ブレーンである劉鶴副首相は15~19日にワシントンを訪れ、ムニューシン米財務長官やライトハイザー米通商代表部(USTR)代表らと貿易摩擦をめぐって2回目の公式交渉をする。今月3~4日の初回の交渉では米国が対中貿易赤字を2000億ドル(約22兆円)減らすように求めるなど双方が要求を出し合った。米中貿易戦争に発展させない知恵が求められるだろう。

 

 第3に国内の景気が上向く必要がある。16日に発表される1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は「9四半期ぶりのマイナス成長を見込む」(大和総研)といった予想が増えている。4~6月期も「消費の出だしが鈍い」という。10日に発表された4月の景気ウオッチャー調査でも家計動向関連の現状判断指数(季節調整値)は47.7と3月から変わらず、好不調の境目の50を4カ月連続で下回った。

 いずれも一気に霧が晴れるような状況ではないため、日経平均がここから上げピッチを速めるといった展開にはなりそうにない。2万3000円に近づくと、個人投資家からの利益確定売りも増えそうだ。15日に発表された中国の4月の主要経済指標のうち、固定資産投資と社会消費品小売総額の伸び率が低下したことも気掛かりだ。日米ともに企業業績が好調なため、株式相場の上昇基調が大きく崩れることも考えにくいが、神経質な相場が続くのではないだろうか。

〔5/16 5:30   日経QUICKニュース〕

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