JT、「アイコス崩し」で業績に上振れ期待

2914JT、「アイコス崩し」で業績に上振れ期待

2018/8/1 5:30日経より

日本たばこ産業(JT)の業績に上振れ期待が高まっている。市場では「国内事業の不振で今期の増益は難しいだろう」と冷ややかな声も出ていたが、ここにきて風向きが変わりつつある。加熱式たばこで国内シェア約8割と「1強」の地位を誇ってきた米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の「アイコス」の牙城を、加熱式たばこ「プルーム・テック」で切り崩し始めたからだ。

JTは1日に2018年1~6月期連結決算を発表する。会社側は1~6月期の業績予想を公表していないが、7月31日時点の市場予想の平均(QUICKコンセンサス)は純利益が前年同期比5%減の2146億円だ。だがここにきてJTの業績に追い風が吹いてきた。

JTは1~6月に従来は東京都と福岡市だけだったプルーム・テックの販売エリアを神奈川県や大阪府などへと順次拡大。期初に会社側が「9月から」と説明していた全国販売の時期を6月に前倒ししている。

 

もともとPMIや加熱式たばこ「グロー」を展開する英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)に比べて加熱式たばこの営業に投入する人員は多かったが、販売体制を一段と強化している。4月までにプルーム・テック専門の拡販チームを北海道から南九州までの全15拠点に配置した。JPモルガン証券の角田律子氏は「国内の加熱式たばこ市場に占めるプルーム・テックのシェアは1~6月に7.4%(1~3月は4.2%)まで拡大した」とみる。

プルーム・テックは紙巻きたばこに比べて税率が低いこともあり利益率が高い。野村証券の試算ではプルーム・テック1本あたりの限界利益(売り上げから原材料費など変動費を引いた額)は約13円で、紙巻きたばこ(約5円)の2.7倍。販売拡大で売り上げが損益分岐点を超えてくれば、紙巻きたばこよりも厚い利益が入るようになる。

紙巻きたばこの需要の落ち込みが緩やかになっているのも好材料だ。JTは今期の通期業績予想の前提として紙巻き販売数量の減少が前期比16%台後半になると想定していた。一方、足元は14%弱と想定よりも緩やかな減少にとどまっている。

背景にはPMIの失速がある。「将来は紙巻きたばこは完全になくなる」と予想するPMIはアイコスで攻勢をかけ、紙巻きたばこで約6割の国内シェアを握るJTから日本の愛煙家を奪ってきた。だがここにきてアイコスの出荷が減速し、JTの紙巻きたばこの販売にも追い風となっている。

こうした国内たばこ事業の状況をみて、市場でも「通期業績の上振れ余地も期待できる」との声も出始めた。

「(国内たばこ事業の業績は18年12月期を)本当の底にするという決意を決めた」(見浪直博副社長)とJT経営陣の鼻息は荒い。7月からは全国のコンビニでプルーム・テックの販売を始め、19年初めにかけてはプルーム・テックのように低温加熱式でありながら吸いごたえを強化したタイプと、アイコスのように高温で加熱するタイプの2商品を投入する計画だ。

PMIは7月下旬、10月からの増税に合わせてアイコス専用のたばこ9銘柄を1箱あたり40円値上げする定価改正を財務省に申請した。JTはあえてPMIの値上げに追随せず、増税分のコストを飲み込んで一気に「アイコス1強崩し」を狙ってくる可能性も否定できない。

JT株の年初来騰落率は13%安と日経平均株価(1%安)に大きく出遅れている。2000年代以降、M&A(合併・買収)を駆使して急ピッチで拡大してきた海外たばこ事業の収益動向ばかりにスポットライトが当たってきたJTだが、低迷する株価反転のカギは国内たばこ事業が握っている。

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