下げに転じる株200日線 魔物すむ秋に油断禁物

下げに転じる株200日線 魔物すむ秋に油断禁物

[8/22 5:30 日経より]

東京株式相場が2016年夏から続いた上昇トレンドが維持できるかどうか、正念場に差し掛かっている。日経平均株価の長期的な方向を示す200日移動平均線は、週内にも2016年11月以来1年9カ月ぶりに下落に転じる見通しだ。

22日から貿易摩擦をめぐって米中次官級協議が始まるが、トランプ米大統領は「大きな進展を期待していない」と語る。トルコ情勢もなお不安を抱えており、「魔物がすむ」といわれる秋相場に向けて投資家は警戒を怠れない。

今年の日経平均は1月23日に2万4124円と約26年ぶりの高値を付けた後、調整局面に入った。しかし、200日移動平均線はこれまで右肩上がりが続き、長期的な上昇トレンドは保たれている。日経平均のチャートは高値を結ぶ線が徐々に切り下がる一方で、安値を結ぶ線が徐々に切り上がるなど、典型的な三角もちあいを形成。「近々、方向感が出てくる」ともちあい放れを予想する声も増えている。

日経平均採用銘柄の予想PER(株価収益率)は12倍台まで低下しており、株価がここから一方的に下げることもなさそうだ。米国市場ではハイテク株が調整する一方で、さまざまな業種で潤沢な手元資金を活用したM&A(合併・買収)が相次ぎ、株式の物色意欲が高まっている。ダウ工業株30種平均が20日に2月1日以来約6カ月半ぶりの高値を付けたほか、S&P500種が1月26日に付けた過去最高値まで0.6%に迫っている。

23日から25日までは米ワイオミング州ジャクソンホールで、米カンザスシティー連邦準備銀行主催の恒例の年次経済シンポジウムが開かれる。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は24日に「変化する経済における金融政策」をテーマに講演する。トランプ米大統領は「喜ばしくはない」などと利上げに不満を表明しているが、パウエル議長は米国経済の好調ぶりを強調し、利上げ路線を堅持するのではないか。日米金利差の拡大を意識し、円安・ドル高が進む可能性がある。

ただ、株価が大きく上がるとみるのは早計かもしれない。東証株価指数(TOPIX)は8月16日に一時1667.95と、取引時間中では3月26日の1645.16以来の安値まで下落し、底割れの可能性を意識させた。TOPIXの200日移動平均線も8月9日をピークに下落に転じ、16年11月から続いた上昇トレンドが転換した。日経平均も早晩2万3000円台を回復しなければ、200日線が23~24日ごろを境に下落に転じる見込みだ。

その後、日経平均は200日線を上値抵抗線として下落基調をたどる可能性がある(グランビルの法則)。悪材料になりそうなのが、中国景気の減速懸念だ。中国・上海株式相場は20日に一時2653まで下落し、16年1月28日に付けた元切り下げショック後の安値2655を下回る場面があった。21日は中国政府系資金による相場下支えへの期待から、心理的な節目の2700を回復したが、基調はまだ弱い。

中国の輸出は堅調で、7月は前年同月比12%増と伸びが拡大した。この点だけをみると、米中貿易戦争の影響は表面化していない。しかし、金融規制を背景に地方政府や国有企業の債務削減が本格化し、インフラ建設を中心に固定資産投資が減速している。1~7月の固定資産投資は前年同期比5.5%増と1~6月から0.5ポイント低下し、統計を遡れる1995年以降で最低の伸びになった。

7月の社会消費品小売総額(小売売上高)も前年同月比8.8%増と前月に比べて伸び率が0.2ポイント低下し、市場予想の9.1%増を大幅に下回った。17年までは2ケタの伸びが当たり前だったが、最近は日用品から電化製品などの高額商品に至るまで購入が手控えられている。7月の工業生産も同6.0%増と前月と同じ低い伸び率にとどまった。米国の輸入規制の影響が今後、出てくる恐れもある。

米中貿易摩擦による景気への打撃を和らげるため、中国政府はインフラ投資などの景気対策に乗り出した。18年の鉄道建設投資を1兆円超上積みする方針も明らかになった。ただ、08年のリーマン・ショック後の巨額の景気刺激策は過剰生産能力と過剰債務をもたらした。SMBC日興証券の肖敏捷シニアエコノミストはリポートで「米中貿易戦争の影響を誤って判断すると、ここ数年推進してきた中国の構造改革は元のもくあみになってしまう恐れがある」と警鐘を鳴らす。景気対策も構造改革を妨げない範囲にとどまるのだろう。中国のある程度の景気減速は避けられない。

ところで日経平均の月間騰落率をみると、1949年から直近までの70年間の平均値で、9月はマイナス0.62%と12カ月のなかで惟一、下落している。00年から直近までの19年間の平均値では、9月はマイナス1.03%と1月のマイナス1.42%と8月のマイナス1.17%に続いて3番目にパフォーマンスが悪い。米国でも1900年以降を振り返ると、ニューヨーク・ダウ工業株30種平均の騰落率は9月がマイナス0.98%と12カ月中の最低だ。

「秋には魔物がすむ」というアノマリーもある。日銀が上場投資信託(ETF)の購入を控えているようにみえることも、市場参加者を不安にさせている。上場企業の4~6月期決算は好調だったにもかかわらず、8月相場は軟調に推移している。9月相場も油断は禁物だ。

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