「永守流警告」は相場底入れのサインか

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40172950Y9A110C1EN1000/

2019/1/18 16:28(日経朝刊より)

日本電産が前日取引終了後に発表した業績下方修正のショックを吸収し、18日の日経平均株価は反発した。永守重信会長の「(中国需要の急減を)甘く見てはいけない」という警告を、市場はむしろ悪材料の出尽くしと捉えた。企業業績の悪化を慎重に確認しつつも、3月1日の米中貿易交渉の期限に向けて相場反転の機会をうかがう投資家が増えてきた。

「これぞ永守流。これで安心して買えるようになった」。銀行系運用会社のベテランファンドマネジャーは日本電産株に買い場が来たとみる。大きな下方修正に動いた前後に大底を入れるという経験則があるからだ。18日も株価は取引開始直後に8%安まで売られた後は次第に値を戻し、1%安で取引を終えた。
過去10年で日本電産の大きな下方修正は2回ある。2008年12月19日には金融危機の影響を織り込んで09年3月期の純利益見通しを580億円から280億円に下げた。株価は翌営業日の12月22日にリーマン・ショック後の最安値をつけた後に反転上昇した。日経平均よりも約3カ月早い底入れだった。

13年1月24日はパソコンやテレビ向けモーターの落ち込みを受けて、13年3月期の純利益見通しを500億円から45億円に下げた。日本電産の株価は直後の1月29日を底に急反発。13年年間では株価は2倍強の上昇を演じ、アベノミクス相場のけん引役になった。

下方修正が日本電産の株価底入れにつながるのはなぜか。ピクテ投信投資顧問の糸島孝俊ストラテジストは「誰よりも早く思い切った対策を打ち、業績を回復させる経営手腕への信頼があるからだ」と説明する。

もう一つは悪材料を小出しにせず一気に出す点だ。永守会長は17日の記者会見で「(需要が)リーマンのときのように落ち続けることを想定した」と話し、最悪の状況を見込んで業績予想を出したと説明した。

株価はまずマクロ景気の悪化に反応して調整し、個別企業の業績内容でその実態を把握する流れになりやすい。景気に敏感に反応する電子部品セクターで「最悪の状況」を見込んだ業績予想が出れば、企業全体についても業績の下振れ幅のメドがみえやすくなる。

このため日本電産は日本株市場全体の先行指標になりやすい。実際、過去の大きな業績下方修正は日経平均が底を入れるタイミングとおおむね重なってきた。

三菱UFJ国際投信の小西一陽株式運用部長によると、世界経済の成長率が1%低下すると日本企業の業績は2桁の減益になってきた。相場は20年3月期にかけて2桁減益を織り込んで調整してきたが「これからは実際の下方修正の程度を確認しながら悲観の揺り戻しが起きる」と指摘する。

中国景気の減速が予断を許さないのは事実。米中のリーダーがかじ取りを一つ誤れば市場の不安が再び高まるうえ、中国の景気刺激策の効果についても投資家の期待はやや先行気味だ。米中貿易交渉の期限である3月1日までは投資家の一喜一憂が続きそうだが、日本電産の大幅下方修正で相場の底入れが近づいたのは間違いないだろう。